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15

「こ、こんにちわ」


びくびくしながら扉を開けば恰幅の良いおば……お姉さんが満面の笑みで迎えてくれた。


「あら、いらっしゃい」

「髪、切ってもらいたいんですけど……」

「はいはい、こっちに座ってねー」


店の中は元の世界の美容院と何ら変わりのない光景が広がっていた。


「綺麗な黒髪ねぇ」

「そっすか?」

「そうよー。普通ここまで長く伸ばしたら潮風にやられて傷んじゃうのよ」


都会育ちだったんで、とはさすがに言えないので曖昧な笑みを返しておいた。


「で、どうしますか?揃えるだけ?」

「いえ、ざっくりバッサリ切っちゃって下さい」


いやいやお姉さん、そんなムンクみたいな顔しないで下さい。

お姉さんが、勿体無い勿体無い勿体無いってしつこいから襟足だけ少し長めにしてもらうことにした。といっても切り終えて自分の姿を見れば髪は、ざっくりバッサリ切りましたって感じに短くなっていた。

こんなに髪短いのいつ振りだろう、小学生とか?


「あら、意外と短いのも可愛いじゃない」

「お姉さまの腕が良いんですよ」


おだてたら半額にしてくれた。お金なら、いっぱいあるからいいのに……。

髪を切ったからか視界が開け、何だか体が軽くなった気がした。

店を出て両手を挙げて伸びをしていたら目の前のシルバーの店が目に入った。

そういえば……。

耳に触れれば何も通されていないピアスの穴たち。

この世界に来る前、ベッドに寝転んでいたからピアスを外していたんだ。だから、この世界に一緒に来たのはドッグタグとボロボロになってしまったTシャツとショートパンツだけ、つまりドッグタグだけなのだ。

お金もまだあるし、さっそくアクセサリーを買いにシルバーの店に入った。


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