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- ナノ -
02

またね、と言った。あの子は、またねって。


「う、あっ」


ごめんなさい。ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。こんな、こんなどうしようもない、どうしようもない、私を……母を、許さないで。


「落ち着け、息をしろ」

「や、だぁ!」


息なんて、生きなんて、したくない!


「あの子がぁ!あの子がいない!なんで!どうして!どうして私は」


戻ってきちゃったの!?


「……ッ、馬鹿野郎!」


ドクターの怒鳴る声にFirst nameは、びくりと肩を竦ませた。ただ目は腕で覆われたままだ。


「ふざけんじゃねぇ!お前が悪い!俺は言ったぞ!親父だって!マルコ隊長だって!みんな、みんなだ!」

「……ッ」

「それでもお前は行くと……ッ、言っただじゃねぇか!俺らはどんなにお前を止めたくて止めたくて止めたくて、どんな気持ちでお前の背を手離したと思ってんだ!」


お前が海賊だからだろう!?


「……ッ、う、あ、ごめ、なさ、ごめんなさい!」


誰に対する謝罪か。逝ってしまったあの子へか、生を知らせもせず逝かせてしまった彼へか、私を思って、それでも目を伏せてくれた家族へか。

否、全部だ。


「ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!」


でも!


「……」


私は視界を覆っていた腕をそっと解いた。目が眩むほどの光が射した。神の後光のように。


「私は、エースを助けたかった」


覚醒してから、初めてちゃんと目を開いて言った。その言葉こそが真理であり事実である。


「……」


ドクターは何も言わなかった。それでも全てを分かっているかのように目を閉じた。


「ねぇ、教えて、ドクター。私は、私は」


エースを救えた?


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