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その登場に誰もが疑問を覚えた。ただ、言葉にできなかったのは、First nameを抱くクロコダイルの姿があまりにも、あまりにも、悲壮を纏っていたからだろうか。
「くっ、ルフィくん、エースさん!今は逃げるんだ!」
ジンベエの言葉にルフィは立ち上がるも、エースは膝をついたままだった。
「エース!」
「ルフィ、先に行け」
「何言って」
「First nameは、俺の姉ちゃんなんだ。大事な家族なんだ。その家族をやられて、黙ってられるか!」
「馬鹿野郎!」
「……ッ、イエロー?」
「First nameが大事なのはお前だけじゃねぇんだよ!今、ここで!エース!お前が助からなかったら!First nameは!First nameは何のために!」
「……ッ」
「盛り上がってるところ悪いが、誰一人逃すつもりはないんじゃが」
赤犬の声にトリオ、エースはハッとする。
「エース、死ぬ気で逃げろ」
「レッド」
「First nameちゃんをドクターのところに頼んだよ」
「グリーン」
「エース、ここは兄ちゃんたちに任せな」
「イエロー」
馬鹿やって笑いあった日々が走馬灯のように横切った。
「ルフィ!行くぞ!」
「あぁ!」
エースは前を向くために背を向けた。[ 340/350 ][*prev] [next#]
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