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- ナノ -
06

結局、そこに答えなんてないんだ。

ただ、息をして、生きをして。

足掻いて、もがいて、答えを見つけようと誰もが終わりに向かって歩いている。ただそれだけ。


「おーい!First nameー!」

「はーい!今、行くー!」

「おい、走んじゃねぇ」

「くすくす、大丈夫よ。なんだか、マルコの心配性が移ったみたい」

「あ?」


濁点の付いた声で一睨みされてしまった。私の旦那様恐ろしや。


「First name!」

「あ、エース」

「聞いてくれよ!マルコがさ!」

「えー、やだー、私を巻き込まないでー」

「ひでっ!First nameひでぇ!」

「あ、そう言えば白ひげがエース呼んでたよ」

「親父が!?そう言うことは早く言えよな!あ!あとお前走んなよ!」

「むう」


テンガロンハットを押さえて爽やかに走っていく弟の背中を恨めしく見送った。


「おい、First name」

「あれ、マルコ」

「隊長だよい」

「くすくす、はい、マルコ隊長」

「たっく、エース見なかったかい?あいつ、また食料庫で盗み食いしてやがったんだ」

「あははは!エースなら白ひげのところに行ったよ」

「そうか、悪いな。あ、クロコダイル、First nameを走らせんじゃねぇよい。First name、お前もまだ病み上がりなんだから」

「わーわーわー、聞ーこーえーまーせーん」


またマルコの心配症が始まったとばかりにFirst nameは耳を塞いだ。


「あ、First nameさん!と、こ、こんに、にちは。クロコダイル、さん」


廊下の向こうから走って来たアイが、クロコダイルを見た途端にビビりまくり、そっとマルコの影に隠れた。


「ちょっと、アイちゃん良い加減クロコダイルさん見てびびんのやめてくれない?不愉快」

「だ、だって、私、昔から強面の人苦手で」

「いや、自分の男も強面の分類だからね」


チラリとマルコを見て呆れたように言えば、アイの下がっていた眉尻がキュッと上がった。


「む、マルコは優しいもん」

「むむ、クロコダイルさんだって優しいよ」

「むむむ、マルコは」

『やめろ』


互いの恋人に口を揃えて言われてしまい、挙句話は終わりだと腕を掴まれそれぞれの方向へ引きずられてしまった。不毛な戦いは耐えきれなくなった男達の手によって終わりを迎えたのだ。


「もー、クロコダイルさん照れなくてもー」

「あ?砂にされてぇか?」

「滅相もありません」


凄まれてしまいあっさりと白旗を振った。掴まれていた腕が、するすると下がり指先が絡まる。それは、まるで当たり前のようにそこに収まった。

ゆるりと頬が緩む。

失ったのが左腕じゃなくて良かった。そしたらこうして手を繋いで歩くこともできてなかっただろうから。


「何ニヤついてんだよ」

「ふふふ、あのねクロコダイルさん、私」

「First nameちゃーん!」

「グリーン?何してんのー?」


次から次へと慌ただしい白ひげ海賊団。

続くはずの言葉は遮られてしまった。でも、きっと音にしなくても伝わってるはず。だって今はこんなにも近くにいるから。


「これ、新人。僕、教育係だから!」

「こ、こんにちは!」


あたふたと額が地につく勢いでお辞儀をかました新人という少年に懐かしさが込み上げてきて、思わずFirst nameは吹き出した。


「ぷっ、あはははは!はい、こんにちは!ようこそ!」


白ひげ海賊団へ!
(我が家へ!)


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