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「野郎共ぉ!エースを救い出し!海軍を滅ぼせぇ!!」


雄叫びを上げる。きっとこの刻は永遠に続くかのように長く、そして過ぎ去ってみれば溜息を零すぐらいにあっという間なのだろう。

それでも今は無我夢中に前へ、前へ、前へ。

地に落ちる麦わら帽子を見た。側にいるのはジンベエだ。何を寝ている暇がある、立ち上がれ、じゃないとお前は掛け替えのない大切なものを喪うんだぞ。

右を見て、左を見て、後ろを振り返って、そして前を向く。どこもさして変わりのない戦場。

人が、人を殺し、殺され。それでも護りたいものがある。

私はこの光景が汚いものだとは思えなかった。酷く、残酷な絵なのに、何故だろう、まだ私は観客席にいるつもりなのだろうか。


「オヤジィ!」


白ひげが胸を押さえ、また膝をついた。


「はぁ、はぁ、はぁ」

「First name殿?」


手が痺れてる。足がすくんで動けない。何を今更。怖いの?怖いよ。怖くて当たり前じゃない。


「マルコ!」


空を見上げれば黄色い閃光に貫かれた不死鳥がいた。


「ジョズ!」


太陽に眩しいダイヤモンドが一瞬にして氷つく。

そして。


「……ッ」

「First name!?」

「なんじゃ、われぇ」

「赤犬ぅううう!」


白ひげに叩き込まれるはずだったマグマの拳を捕まえたのは黒い風。


「私は、私は、風来のFirst name!白ひげの娘だ!」


ドン!

きっとここが紙の上だったらそんな効果音が鳴っていたに違いない。


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