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10

合流したトリオに、こっぴどく叱られたのは言うまでもない。あまりにも叱られっぷりが酷かったのか、どこからともなく現れた兎少年が止めに入ってくれた。


「ありがとう、兎少年」

「とんでもない!僕が貴女をお護りします!」


やる気満々な少年には悪いが、こんな可愛いらしい少年、私の方がが護らなきゃいけないと思ってしまうよ。


「うわ、なんだこいつ!兎か?」

「耳はやめてくれでやんす!」


さっそくイエローが耳に興味深々だ。なんてやっている場合じゃない。


「First nameちゃん、顔色悪いけど大丈夫?」

「はは、大丈夫だよ。グリーン、それより……」


戦場に一瞬の空白。ハッとして視線を彷徨わせ見つけた先はモビー。


「い、あ、白ひげぇえええ!」


悲痛に叫ぶ私をレッドが抱き寄せた。きっと風になって消えてしまうと思ったのだろう。


「やだ、レッド!離して!」

「First name!落ち着け!」

「やだ、やだ、やだぁああああ!」


何を取り乱している。お前は全て知っていただろう?知ってて知らぬ振りをしたのだろう?

どこかの誰かが嘲笑う。

白ひげが胸から赤を流し膝をつく姿に動揺したのは何も私だけじゃない。敵も味方も皆が今や処刑台とは反対を見ている。


「嘘だろ、オヤジが俺たちを売ったなんて!」
「畜生!俺たちは売られたんだ!」
「オヤジィ、嘘だと言ってくれぇ!」
「くそっ!」


あぁ、だめ、だめだよ。

白ひげに裏切られたと悲痛に項垂れる者、怒る者、取り乱す者、泣く者。こんなの敵の思う壺だ。


「白ひげが!白ひげが家族を売るわけないでしょ!白ひげは!お父さんは!何よりも家族を大切にしてるのに!」

「First name!分かったから!」

「みんな!騙されないで!お父さんは!お父さんは!」

「First name!!」


しっかりしろと両肩を強く揺さぶられ、やっと私の双眸は真っ赤な髪を映す。


「レッド、だって、だって……ッ」

「馬鹿野郎、分かってる。親父に大切にされてるのは俺ら自身が一番知ってる。だから」


泣くな。


「うっ、ひっく、ひっく、白ひげ、白ひげぇ」

「泣きべそかいてんな、ほら、今のうちエースに近付くぞ」


イエローがくしゃりと頭を撫でればグリーンが手を引く、そしてレッドが背を押した。


「First nameちゃん、僕らがいるよ」

「うん、うん、早くエースを」


早くエースを、早くエースを、そうすればこんな息もできないほど苦しい現実は終わるから。早くエースを。

きっとこの戦場のどこかで叫んでいるクロコダイルさんの声に耳を傾け私は処刑台へ駆けた。


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