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08

戦場で逢引。なんて言えば聞こえは良いラブロマンスだが、実際は喧騒の中では直ぐに身を離さなければならない。


「フフフ、なんだクロコダイル。その女、お前の女なのかぁ?」

「失せろ、フラミンゴ野郎」


サーブルス。

クロコダイルさんの巻き起こした砂嵐でドフラミンゴはどこかへ消えてしまった。あれでやられるはずはないだろう。


「First name!無事か!」

「あ、ジョズ隊長!よくもクロコダイルさんのお顔を!」

「うわっ、何をするFirst name!それよりクロコダイルと……まさか、First name。クロコダイルが……」


ジョズ隊長は顔色を変え、First nameの腹とクロコダイルを見比べた。


「あー、ジョズ隊長その通りですが、まだシーでお願いします」


人差し指を立てて内緒のポーズ。


「クロコダイル!クロコダイル!大丈夫ですかい!」


そこへ兎少年登場。


「え、兎?え、兎!?可愛い!クロコダイルさん、浮気ですか!?」

「え、どちら様ですかい?」


兎少年の可愛いらしさに、勢い良く振り返って問い詰めればクロコダイルはジッと私の腹を見つめていた。


「あ……」

「……それは、何だ」


クロコダイルが、すっと体を離した。彼の目が冷ややかに私の膨らんだお腹を見ている。


「ごめ、なさ……」

「あ?俺は『何だ』と聞いてんだよ」

「……赤ちゃん」

「あ?」

「……貴方との子どもです」


俯いていた顔を意を決して挙げれば一瞬にして周りの喧騒などを吹き飛ばしてしまうぐらいの冷たい顔をした彼がいた。

恐怖からかFirst nameは後退る。無意識に腹を庇ったのは、どうしようもなく彼が私から僕くんを奪ってしまう気がしたから。


「いつからだ」


聞いたクロコダイルは既に答えを知っている。


「貴方といた時にはもう……」

「それで、俺に抱かれてたのか。腹に子がいるのを知っていて。俺に何も言わず」

「ごめんなさい、でも!」

「失せろ。女が戦場に立つな」


真っ黒なコートを翻し向けられた背中が遠い。

拒絶、された。

女が、戦場に立つな。

でも、私は海賊だから。でも、私は弟を助けたいから。でも、私は。でも、私は。でも、でも、私は!

あんなページ、破り捨てたいから。


「First name」

「ジョズ隊長、今のは誰にも言わないで下さいね。今はエースを助ける。ただそれだけだから」


エースを助ければ、白ひげも助かる。そうすればこの時代は終わらない。


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