06
腹を庇いながら戦うのはもう慣れたものだった。少し前まではついついその存在を忘れてあわや攻撃を腹で受け止めそうになったこともある。
「風、波断て」
「うわぁあああ!」
伊達に『風来のFirst name』など呼ばれているわけじゃない。短剣を振り下ろしたところに風の通り道ができる。
「おい!First name!」
「お、イエロー!ナイスパーンチ!」
「ナイスパンチじゃねぇよ!」
「あ、いてっ」
追いかけて来たイエローが私を囲った海兵を殴り飛ばした。言葉通り空に飛んで行き、星になった。これをナイスパンチと言わずなんと言う。
「First name、お前がエースを大事に思っているのは分かってる。だがな、お前のことをエースが慕っていたことも忘れるな。エースが自分のためにお前が死んだとなりゃあ……」
「イエローが真面目だ」
「殴るぞ、この野郎」
「あはは!大丈夫!ほら、早く馬鹿な弟を助けよう!」
「おう!」
信号トリオは私の背を、私は三人の背を守り一歩一歩とエースに向かって進む。[ 330/350 ][*prev] [next#]
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