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「ほら、小遣いだ」


小遣いって……まぁ、小遣いは小遣いなんだけど、もうちょっと言い方があると思う。

見張り台から叫ばれた生の「島が見えたぞー!」に、ちょっと感動していたらさっそく白ひげに呼ばれたのが、ついさっき。

そしたて今、私の両腕の中には紙幣と硬貨がたくさん入った袋がある。お小遣いと称されて渡されたそれは文字通り金、こんな沢山のお金を持ったことのない私は正直きょどっている。

通貨が分からなくても、この重さなら相当な額があるのはバカでも分かる。


「グララララッ、いいかFirst name。全部使ってくるまで帰ってくんじゃねぇぞ」


いやいや、そんな無茶苦茶な……。


「行くよい、First name」

「え、マルコ隊長も来んの?じゃなくて、来るのですか?」

「当たり前だろい。船内で迷子になる奴を町に一人で放つか」


放つって……今度は犬か何かでしょーか?


「First nameー!小遣い貰ったかー?」

「げ、サッチ」


じろじろと好奇の目で見ていた船員達を掻き分けて片手を挙げながら陽気に現れたのはリーゼントことサッチ。


「ありゃ?マルコも行くのか?」

「てめぇら、いつの間に知り合ったんだよい」

「昨日の晩、だよな?」


無駄に意味深に言わないで下さい。


「お、これまた沢山貰ったなー」


私が抱えていた袋を引ったくって中身の確認をしたサッチの顔は隠せないほど、ゆるゆるだった。

なるほど、そっちが目的だったか変態め。


「よしっ!島に降りるぞー!」


サッチの声に周りにいた船員達が拳をあげて応えた。私とマルコは溜め息をこぼし、白ひげはグラグラ笑って息子たちを見ていた。


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