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- ナノ -
01

エース処刑まで、残り三時間。

指先が冷たい。先ほどから小刻みに震える指をFirst nameはジッと見つめていた。とうとうこの日が来たのだ。あぁ、震えが止まらない。月日が私を強くしたはずなのに、こんなにも怖いのはまだ私が弱いからか。


「First name、怖いかい?」


ハッとして顔を挙げれば、そこにはマルコがいた。まるで私の心の中を読んだようだ。


「マルコ……」

「隊長だろい」

「……マルコ隊長」


いつもの掛け合いに、唇が緩むもまだ面持ちは堅いままである。


「おめぇは強くなったな」

「え」


マルコは正面でしゃがみ込み、いつだって温かい手を私の頭の上に置いた。


「怖がりが強い奴じゃねえのは、まぁ、確かだが、俺は恐怖を忘れちまった奴こそが弱者だと思う。お前は強くなったよい。怖くて縮こまっていた頃が可愛いぐらいな」

「なにそれ」

「ほら、レッドたちが心配してたぜ。部屋にこもって出てこねぇってよ」

「ねぇ、マルコ隊長」

「ん?」

「サッチ隊長、ホットチョコレート作ってくれるかな?」

「……あぁ、喜んで作るだろうよい」


肩が並んだ。マルコの背中に隠ればかりいた頃の私じゃない。今はこの大きな人の隣に立って戦うことができる。私の、皆の大切なものを護るために。

エース、今姉ちゃんが助けに行ってやるからな。

前を向いた。


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