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軍艦の周りを悠々と泳ぐジンベエザメの群れ。役目を果たしたサメたちは遠くの海に消えて行った。

あれが、あいつの見たかったものか。隣ではまだ熱が冷めないのか兎少年がキラキラした目でジンベエザメらが消えて行った海を見つめていた。


「魚と話ができるってのは、あれぁ、人魚族の特殊能力だと思っていたが、まさか本当にサメを呼べるとはな」

「魚人が魚と仲良くしてはおかしいか?」

「むぁ、常識外れではあるな。粗暴な種族のはみ出し者ってとこか」

「それは、褒め言葉として受け取ろう。魚人が粗暴というのも否定できん」

「そうかよ」

「そう言えば、お前さんわしがジンベエザメを呼べることを知っておったな」

「……」

「誰に聞いたんじゃ?」

「……さぁな」


クロコダイルはそっと視線を海に投げた。


「ねぇねぇ!次は僕もジンベエザメの背中に乗せてほしい!クロコダイルも一緒にどうだい!?」


何を言ってやがると兎を見れば、その目には自分が映っていた。真っ直ぐな瞳にやっぱりあいつを思い出す。いや、でも、あいつの目こんなに透き通ってはいなかったか。


「お前さんも誰かに好かれるんじゃのう」

「うるせぇ」


ジンベエが舵をとりながら心底驚いたようにクロコダイルを見た。


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