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06

インペルダウンーーーレベル6


砂の匂いが恋しいだなんて言ったらあいつはどんな顔をするだろうか。きっと驚いた顔をしたあと「どうしたんですか、頭沸きました?」なんて本気で馬鹿にしたような台詞を言うに違いない。そして俺の腕を引いて砂漠の中心で得意げにこう言うんだ。


「これで寂しくないですね」


誰も寂しいなんて一言も言ってねぇのに。


「……誰も、逃げやせんわい!」


裂くような怒号に続いて、肉を撲る音がした。どこかの馬鹿ががまだ希望なんて抱いているらしい。血臭がむわりと漂ってくる。ただでさえ、血と汗、異臭しかしやしねぇのに。

クロコダイルは舌打ちした。


「また、こっ酷くやられたな、親分よぉ」


掠れた男の声がした。クロコダイルはまだ若くでも暗い声色の男と、知った男の太くうざったいぐらい芯のある声の会話に耳を傾けた。


「体など痛うない!エースさん、痛ぇのは……!仁義を通せぬ、わしの心じゃあ!」

「……っ、ジンベエ!」

「このままじゃあ、わしは死んでも死にきれん!七武海の称号が何じゃ……そんなものいらん!!この戦いが止められるなら……わしは命もいらん!」


あぁ、そんな綺麗事。


「くそくらえ」


クロコダイルは真っ暗な天井に向かって煙を吐き出すように悪態ついた。葉巻が恋しくなった。


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