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それは別に真実を映す水晶だとか、未来を予知する水晶だとか、そんな謂れの類のものではなくて、ただそれに触れた者は……。


「あ、あ、え?」


尻餅を着いたまま混乱している彼女に、アイはただ見つめることしかできなかった。ただアイは彼女の反応は共感のできるよく知るもので他のクルーたちよりも落ち着いていたのも事実だ。


「ちょっ、え、やだ、何、ここ」


縮こまり、怯えたようにクルー達を見るその姿はいつもの彼女からは想像もできなくて、元がこれだったのならば、この世界に来たことで彼女は相当強くなったのではないだろうか。


「おいおい、どういうことだよい」

「隊長、みてくれ。これ……」


ただ、それに触れた者は……。


「嘘だって言って」


揺れる彼女の瞳にアイは鮮明に記憶が蘇る。


「不死鳥の、マルコ?」


この世界に堕とされてしまったその時のことを。


「触れたものは、遡り、やり直す。……まじかよい」


水晶の下に刻まれた文字。それは彼女がこの世界で重ねた年月が無に帰ったという言葉だった。


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