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- ナノ -
13

エリザ、聖母エリザ。あなたの、温かさはまるで聖母だ。


「いつまで抱き付いてるのよ」

「いって!」


エリザの胸に顔を埋めていたら、マリアに後頭部を叩かれた。マリアは全然聖母じゃない。


「だめよ、マリア」

「だって、エリザ。First nameったら変態にしか見えなくて」

「ひどーい」


マリアの毒舌は健在です。


「お腹の子は順調かしら?」

「僕くん?僕くんは別段変わったことないよ」

「あんた性別もう分かってるの」

「なんとなく、きっと男の子」

「なんだそれ。まさか、First nameに子供ができるとは」

「ははは、自分もびっくり」

「つまりは、そういうことしたって訳ね?」


ニヤリと笑うマリア、下品極まりない。


「そうだけど?」

「へぇ、いいモノだった?」

「最低」

「どうなのよ?」

「最高に決まってるでしょ?」


本当に最高だった。他の男の人なんて知らないけど、彼と体を重ねるのは幸せだった。幸せ、だった。彼の隣にいるだけで、幸せだった。なのに、どうして……。


「馬鹿!」

「え」


マリアに抱き締められた。


「何て顔してんのよ!」

「……」

「泣きなさいよ!」

「うぅぅぅぅ、やだ!」


やだよ。無理だよ。泣きたくなんかない。誰かに涙なんてみせたくない。彼以外の誰かに泣き顔なんてみせられない。


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