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それでもやっぱり当人を目の当たりにすれば、喜びが湧き上がってきた。


「サッチ!」

「よっ、First name。また一段と女らしくなったじゃねぇか。子供ができたんだって?聞いたぞー。親父かじいちゃんなら、俺は叔父さんか?叔父さんは、よせやい。せめてお兄さんと……おっと」


相変わらずよく回る口のようで、喋り終えるのなんて待ってられず、私は飛び付いた。揺れるリーゼントが懐かしくて懐かしくて…… 。


「毟りたい」

「やめろ!がちでやめろ!」


リーゼントに伸びた手を察したのか、体を離された。ちっ、あと少しだったのに。


「体は成長しても、中身は成長してねぇようだなー、First name」

「サッチも変わらず変態リーゼントで安心した」

「おい、お前ら感動の対面じゃないのかよい」


つっこみどころ満載な再会に、とうとうマルコが口を挟んだ。


「これが、俺たちの感動の再会なの!な?」

「うん、めっちゃ感動。生きててありがとう。なーんだ、生きてるならエースの話し最後まで聞けば良かったー」


きっとアラバスタで会った時、エースはサッチの生存を教えてくれようとしたのだろう。ちゃんと最後まで怖がらずに聞いていれば、原作が変わることを知って、もしかしたら今、彼と……。


「なんだい、エースに会ったのかよい」

「うん、て、あれ?サッチが生きてるなら、何で?」


私は、アイちゃんを見た。アイちゃんの顔が曇る。


「あいつ、死んではいないものの仲間を殺そうとして逃げた始末をつけるって言って飛び出したんだよい。俺たちは止めたんだけどねぇい」


そ、うなんだ。そこは、変わってないんだ。だったら、あの未来も。


「まぁ、エースのことだ。大丈夫だよい」


微笑むマルコに、微妙な顔で笑い返すことしかできなかった。


「First name、改めて」

「サッチ?」

「お前にこの命救われた」

「そんな」

「ありがとう」


あぁ、良かった。サッチ、生きてたんだ。良かった、良かったよ。

でも、一度心にできたわだかまりは消えてくれない。


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