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07

回る回る、乾杯しにくるオジサンクルーたちにジュースの入ったグラスを鳴らす。休む間もない。少し離れたところで隊長たちは静かに呑んでいた。挨拶にいかねばと思うが、断ち切れないオジサンたちの激励になかなか席を立てないでいた。


「うー、改めて感じる白ひげ海賊団の人数の多さ」

「確かに、すげぇな」


レッドが苦笑しながら煙草をふかしていた。
お、久しぶりに見たその横顔。なんか……。


「老けたなー」

「は?」

「なんか、レッド老けた?」

「そりゃ、お前だろ。出逢った時、お前まだ十代の小娘だったお前も……」

「ちょっ、指折り数えないでよ」

「いやぁ、歳とったなー」

「オヤジくさっ」

「オヤジで結構、俺もう三十路過ぎたし」

「まじか」


そっか、六年も時が過ぎれば若造もオヤジになるんだ。そうだよね、私も、歳とったな。


「で、お前この一年どこにいたんだよ」


やっと激励の波も途切れ、親友たちと甲板にもたれながらどんちゃん騒ぎする仲間たちの姿を眺める。もう、いいや。挨拶は明日にしよう。時間なんて、腐る程あるんだから。


「んー、何処って言われてもねー」


イエローの投げ掛けを適当に答える。


「強くなったかよ?まさか、平和ボケしてましたなんて言うなよな」

「ふふふ、イエローくん。実は私とうとう黒風をモノにしましたぜ」

「まじか!やったな!そりゃあ楽しみだぜ!」


未だに少年みたいに目を輝かすことを忘れないイエロー。イエローだけじゃない、この船にいるクルーは皆そうだ。


「First nameさん!」

「なんだ、ゴールド。さっき断っただろ?」

「違いますよー。ぜひ、お手合わせお願いしたくて!」

「ふーん。だって、皆、どうする?」

「やってやれ。手加減しろよ」

「一年さぼってなかったか見定めてやる」

「First nameちゃん、ほどほどにね」


三人らしい言葉に私は口の端しを上げて立ち上がった。


「ちょっ、レッドさんたち、僕が負けると思ってんすかー?」

「え、勝てると思ってんの?」


逆にびっくり。


「女になんか負けません」

「あはは、君、モテないでしょ」

「う」

「まさか、童貞?あぁ、ごめんね、私、童貞とは寝ないの」

「……」

「ヤル前から気持ちよくないって分かってる相手なんて、願い下げ」


ゴールドは顔を真っ赤にさせて、ナイフを抜いた。さっと、クルーたちは道を開け、人集りでリングができる。歓声、野次が飛ぶ。


「覚悟はできてんだろうな」

「そっちこそ、童貞くん」

「このっ!力尽くで抱いてやる!」


どこからかゴングの音がした。それを合図にゴールドは床を蹴った。

あ、わくわくしてる。あー、楽しいな。


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