×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -
06

甲板にでればすでにどんちゃん騒ぎだった。人と人の間を縫うように進めば、すれ違いざまに懐かしい顔触れのオジサンたちに頭を撫でられる。私ってば、もうけっこう良い歳なんだけどな。


「First name!こっちだ!こっち!」


呼ばれた方を見れば、イエローが手をめいいっぱい伸ばして振っていた。


「じゃあ、First nameさん。私、準備の方に戻るんで」

「あ、うん、ありがとう」


すっかり船に馴染んでいるらしいアイちゃんはクルーと雑談しながら船内へと戻って行った。


「おう、何処行ってたんだよ。部屋に行ったんだぜ?」

「ごめん、レッド。ドクターに会いに行ってた」

「First nameちゃんどこか怪我したの?」

「ううん、大丈夫だよ」


心配気に顔を覗き込んできたグリーンに安心させるように微笑む。


「First name、ほれ呑め」

「げ」


イエローが渡してくれたのは、間違いなく酒。一応、断酒しているのだがどうしたものかと、その茶色い液体を見つめる。


「なんだ、First name。この一年で酒呑めなくなったとか言うなよ?」

「違うし、ただ……」


僕くんを思えば酒は良くない。だから、ちょっとお酒は控えたい。


「First name?」


レッドが様子のおかしい私に首を傾げた。


「あのね……」

「First nameさん!」


素敵な笑顔がずいっと近付いてきた。どこから現れたんだ、君。


「うおっ。あ、君、さっきの可愛い子」

「可愛いって、やめて下さいよー」

「で、君新人?」

「うっす」

「First nameちゃん、彼は一番隊の新人だよ」

「え、そうなん?じゃあ私と一緒じゃん。よろしく、弟よ」


グリーンが教えてくれた。にんまり笑って手を差し出せば、新人くんは喜んで手を握り返してくれた。


「僕、ゴールドっす!」

「ゴールド?あはは、これまた厳つい名前っすね」

「え」


どうやらゴールドくんは私の笑のツボについていけないらしい。


「で、First nameさん」

「ん?」


ちょっとこいつ、いつまで私の手を握てるつもりだ。


「さっきのFirst nameさんの提案を受けようと思いまして」

「さっきの私の提案?」


何か提案したか?


「今夜、僕のベッドで良いことしません?」

『何言ってんだてめぇ!』


期待いっぱいのキラキラの瞳で言い放ったゴールドの頭に赤黄緑の鉄槌が下った。


「はは……」


そう言えば、そんなこと言った気がする。ヤリたい盛りの少年に言うもんじゃないな。ちょっぴし反省している間に宴がはじまった。


「帰ってきた娘に乾杯だぁあああ!」


白ひげ、お酒はほどほどにね。


[ 286/350 ]

[*prev] [next#]
[目次]
[]