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- ナノ -
06

もっと長い一日になると思っていたのに、終わってしまえば呆気なかった。

砂が舞うはずだった空は今、涙のせいで霞んでしまっている。ねぇ、それは歓喜の涙?空はいったい誰のために泣いてるの?

不思議と私の頬は濡れていなかった。取り乱してもいない。何故だろう、終わる前までは荒んでいたというのに。今では凪のような静けさ。


「あぁ」


それでも溜め息のように零した声は震えていた。

空に突き付けられ、地に堕ちた彼。


「……ッ」


クロコダイルさん、クロコダイルさん、クロコダイルさん!

今すぐにも風になって、彼の元へ飛んで行きたかった。なのに、どうして?


「どうしてよ……ッ」


動かない体。動かない、動かないよ。どうして、助けなきゃ、助けなきゃ。今、助ければ、この先ずっと一緒にいられるかもしれないのに。

なのに、私の体は動かなかった。海軍に取り囲まれる彼を、ただただ見下ろすことしかできなかった。

そんな自分をきっと、これから一生恨むだろう。


「秘密犯罪会社バロックワークス社社長、王下七武海海賊サー・クロコダイル。世界政府直下、海軍本部の名のもとに、あなたから敵船拿捕許可状及び、あなたの持つ政府における全ての称号と権利を剥奪します」


地位?名声?この世の全て?そんなもの私は最初からいらなかった。ただ、愛が欲しかったの。

空っぽのあなたでも、あなたが、あなたなら、私は、あなたを愛してる。

終焉。


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