02
向かうは首都アルバーナ。私がごちゃごちゃ考えている間も物語は進んでいる。そして、もうすぐこの物語は終焉を迎えようとしていた。
ふと、空から砂の王国を見下ろす。白ひげの元にいた時間に比べれば遥かに短い時間なのに、この国で得たものはそれと同じぐらい、ううん、それ以上のものだった。
どうしよう、どうしたら良いんだろう。そっとお腹に触れた。
「ねぇ、どうしたら良いと思う?」
馬鹿みたいに聞いてみたけど、返事が返ってくるわけない。思わず笑ってしまった。馬鹿すぎるでしょ。
不意に視界が砂で覆われた。
「え」
「こんなとこにいやがったのか」
「な、何してるんですか?」
「こっちの台詞だ……勝手にいなくなるな」
あ、心配してくれたんだ。彼の表情はとても穏やかだった。きっとルフィと戦った後だというのに、私に向ける眼差しは変わらない。
そっと彼の指輪のついたごつごつした指が私の頬を撫でた。
「First name」
「はい、クロコダイルさん」
地上は、まさに乱世。なのにその空は、それを思わせないほど穏やかな風が吹く。
「クロコダイルさん?」
何か言いたそうなのに、何も言わない彼に私は首を傾げる。
「着いて来い」
「……はい」
どこまで?
本当はそう聞きたかった。でも、聞けなかった。未来を知ってる私がそんなことを聞くなんて狡いもんね。
「お茶菓子食べたい」
「ミイラになりてぇか」
「じょ、冗談ですよ!」
宮殿を見ると、つい高級茶菓子を想像してもらう。そういえば、最後にコブラさんにもらったチョコ美味しかったな。
「行くぞ」
「はーい」
何処へなんて聞かない。[ 272/350 ][*prev] [next#]
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