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15

朝、目が覚めれば砂の香りが鼻を掠めた。そして次に彼の温もりに気付いた。最高の朝だと思った。だって目が覚めた時、彼の温もりに包まれているんだもん。


「起きたか」

「起きましたとも」

「……大丈夫か?」


彼はそう言って私の腰を労わるように撫でた。彼らしくない行動に嬉しいも、何だか可笑しくて笑いが漏れる。それが不満だったのか彼はいつも以上に眉間に皺を寄せた。


「何が可笑しい」

「だって、優しいから」


一瞬瞠目した彼は誤魔化すようにベッドサイドに置かれている葉巻に手を伸ばした。


「荷物を纏めておけ」

「え」

「分かったな?」

「……はい」


それ以上彼は何も言わなかった。彼は作戦についてなに一つ教えてはくれなかった。それが何故かはわからなかったけど、彼の隣に変わらずいれるのなら些細なことだった。

でも、ねぇ、眠ってるうちに全て終わってるんじゃなかったの?

私も、この抗えぬ運命の中の一人だというの?


「First name、どうした?」

「ううん、何も。お腹すいちゃった」

「クハハハハッ、お前は寝るか食うかだな」

「む、そんなことないですー」


いつもと変わらない朝。でも、今日はいつもと違う一日になるだろう。

長い、長い、長い、一日が始まった。


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