11
鏡の向こう側にいる私は疲れるきっている顔をしていた。それもそのはずだ。疲労と寝不足、そして追い込むかのように襲ってくる吐き気。これは酷い。
しばらくの間鏡の中の自分と見つめあっていたが、ずっとこうしているわけにもいかない。見つめていて顔色が良くなるわけもないのだから。
「はぁ」
意気込もうと口を開いて、代わりに出てきたのは情けない溜息。
あぁ、私疲れるてるな、あはは。
「クロコダイルさん、どこだろ」
よくよく考えてみたらアラバスタ編の時系列を私は把握できていない。どんなことが起こるか何があるかは分かっているけどそれがいつ起こることなのか分からないんだ。だから今、彼がどこにいるのか分からない。
どこにいるか分からないと、よけいに会いたくなる。よし、会いにいこう。
顔を洗って少しは気分も良くなり、身支度をして部屋を出た。しんと静まり帰る廊下。左右を見渡し、さてどちらに行こうかと考える。とりあえず秘密地下に行こう。一番可能性があるだろう。何処かに出掛けるとは言っていなかったし。
私は、ふらふらと誘われるようにゆっくりと歩き始めた。
「あ」
ぽろりと零れ出た声。秘密地下に向かう途中、角を曲がったところで何処かで見た覚えのある数字の3が目に飛び込んできた。
眼鏡に数字の3ヘアー。私はピンときた。Mr.3じゃないか!
「な、何だね君は!」
「ちょっ、それはこっちの台詞なんですけど。……おま、あなた、こんなところで何しているの?」
私は胸の前で腕を組み、偉い人だオーラをだしてロビンぽく言ってみた。
「フン、ガキに答える必要はないガネ」
しらっと流された上にガキ扱いされた。かっちーん。クロコダイルさんにガキ扱いされるならまだしも3なんかにガキ扱いされるのは不服だ。
「相わかった。ボスにあなたを殺すよう指令を出してもらうから」
「んな!?」
口を開けて驚いた顔のお粗末さに反吐がでそうだ。何て醜い。少しはクロコダイルさんの美しさを見習ったらどうかと思う。
「じゃ、私ボスを探さないといけないから」
「ちょっと待つガネ」
くるりと背を向ければ呼び止められる。私は心の中でほくそ笑んだ。
「何か?」
「ボスの居場所なら知ってるガネ」
「へぇ、そう」
「し、知りたくないガネか?」
ガネガネ煩いだがね。
「それで?」
「教えてやるかわ……」
「かわりに見逃せと?」
「フン、少しは使える頭のようだね」
「そんなに殺されたい。ふーん、そっか」
「う、嘘だガネ!教えるだガネ!」
ガネガネ、ガネガネ、あー耳障りな語尾。仕方がないから交換条件をのんでやることにした。どっちにしろMr.3の運命は決まっているのだガネ。
あ、やべ、うつった。[ 261/350 ][*prev] [next#]
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