05
「あははははっ!」
あー、最高!やっぱり海賊はこうじゃないとね。
「First name」
「早く行きなよ。弟くんが待ってるんでしょ?」
「俺は今、ティーチを追ってる」
「うん」
青い空に真っ白な雲。陰気な話をするには似合わない空だ。それに、あまりエースを引き止めると支障がでるかもしれない。
「エース。今、長々と話をしている時間はないの。あなたにも、私にも。良い?約束。私が船を離れてからの冒険をいつか必ず話すから、エースは私がいなくなってからのことを話すこと。分かった?」
「あぁ、分かったよ」
「約束」
「約束だ」
テンガロンハットで顔を隠すように俯いたエース。顔が見たい。私は気付いたらエースの手を払いテンガロンハットを奪っていた。
「First name?」
「だめ!」
「え」
「ちゃんと私の目を見て!約束して!」
「First name……」
「破ったら許さないから……ッ」
あれ?どうしたんだろう。感情が昂ぶってる。抑えられない。抑えられないよ。
私はエースに抱き付いた。
「First name、お前……」
「私が護るから、次は絶対護るから!だから……」
続きを紡ぐことはできなかった。言ってはいけない。未来を知ってしまったら、それはその人が選んだ道ではなくなってしまう。
「約束!分かった?」
「あ、あぁ、約束だ」
「よし、行け!」
エースの太陽みたいな笑顔が見れて私の気持ちは少しだけ晴れた。
あぁ、こんなところクロコダイルさんに見られたら怒られちゃうな。今度は何だか後ろめたい気持ちになってしまった。[ 255/350 ][*prev] [next#]
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