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- ナノ -
09

あぁ、苦しめていたのは俺だったのか。こいつの首に手を掛けていたのは俺の手だったのか。俺が触れる度にお前は息ができなかったのか?苦しかったのか?

他の女を抱いて何が悪い。そう言った時の一瞬にして闇色に染まった瞳は見間違いじゃなかったんだな。俺がお前の感情を何度も何度も殺していたんだ。


「悪かった」

「こ、怖かっ……ッ」


俺だと分かっていたからお前は拒むことができなかったんだな。また俺が他の女のところに行ってしまうと思って。お前の心にそれだけあの日の過ちを刻んでしまったのか。

どうしたら、その傷は癒える?俺はどうしたら良い?

ただ抱き締めることしかできない俺の傍にお前はいつまでいてくれるんだろうか?

クロコダイルは漠然と確信した。あの手紙に書かれていた未来は嘘じゃないのかもしれないと。ただ、それはそれで腹立たしい。俺の未来は俺が決める。誰かに言われて選んだわけじゃねぇ。俺が正しいと思ったからだ。

だから、こいつも手放したりしねぇ。こいつは俺のだ。欲しいものは自分の手で奪う。大切なものは自分の手で護る。

手離したりなんかしねぇ。そんな、馬鹿なこと……。


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