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- ナノ -
05

最近、あいつの様子がおかしい。あいつがおかしいのは今に始まったことじゃねぇが、体調が優れないようだ。

俺なりに気に掛けてはいる。だが、あいつは風のように指の間を通り過ぎてしまうのだ。胸騒ぎがしていた。あいつがどこか遠く感じた。

そう言えば最近抱いてない。何だ、溜まってんのか?はっ、いい歳して俺もまだまだだな。自嘲気味に渇いた笑いを漏らした。

クロコダイルは気付いていなかった。自分の中で起きている小さな小さな異変に。まさか自分が不安なんて感情を今更持っているとは思いもしなかったのだ。


「真っ直ぐ帰って来いよ」


そう言ってあいつが出て行った後、ニコ・ロビンが入って来た。意味深な笑みを浮かべ一通の手紙を机に置き何も言わず出て行った。食ねえ女だ。

宛名はなし。クロコダイルは眉間に皺を寄せ手紙を広げた。読み進めていくにつれてクロコダイルの手は震えていた。読み終えた瞬間その手紙は砂と化した。

そこからあまり記憶がない。俺はあいつを求めて寝室に向かった。しかし、そこにあいつはいない。それはそうだ。今さっき自分があいつに指令を出したのだから。

苦しかった。息がしずらかった。胸元を掻きむしっても消えない煩わしさ。信じたくなかった。認めたくなかった。だから、この手で抱き締めて繋ぎ止めて、閉じ込めてしまいたかった。

俺のものだと。誰のものでもない俺だけのもの。誰にも渡さない。誰にも。それがたとえ……。

気付いたら俺はあいつを組み敷いていた。


「……」


身を清めシーツを掛け直し、傍らに腰を下ろす。ようやく頭が正しく回転し出し、一部始終を思い出した。

そうだ。俺はこいつを抱いたんだ。頭の中で
助けを求める悲痛な声が残響していた。目を覚ますのが怖かった。目を覚ました時、どんな目を自分に向けるのか。それが怖かった。


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