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19

それは一枚の新聞だった。国王軍の兵士三十万が反乱軍に寝返ったらしい。今や三十万対七十万と大幅に反乱軍が上まった。本当にこんなことが起きているのかというほどレインベースは平和だった。

国がどうとか、はっきり言って興味ない。規模が大き過ぎて全く現実味が湧かないのだ。パサリと新聞を放置し、紅茶を淹れに立ち上がった。その新聞が始まりを告げていることにも気付かずに。

今日もバナナワニは優雅に水槽の中を泳いでる。見慣れればリアルなバナナワニも可愛く見えてくるものだ。だが、しかし、いかんせん、生は駄目だ。さすがに生は駄目だ。


「ちょっ、クロコダイルさん。何故バナナワニ様を水槽から出す必要が?」

「いいかげん慣れろ」

「無理」


これでも元一般人ですので、規定範囲を越えたことはなかなか順応できません。

不思議とクロコダイルさんの傍は恐怖が和らぐ気がして、お仕事中にも関わらずぴとりと張り付いたようにその場から離れなかった。

もふもふのコートを掴みながらバナナワニを見上げれば、ジロリとその鋭い瞳と目が合った。


「う」

「クハハハハ、白ひげの名が聞いて飽きれるな」

「むむむ、パパは関係ないし」

「はっ、そうかよ」


鼻で笑った彼は無造作に電伝虫を掴んだ。どうやら仕事で一件電話を掛けるらしい。邪魔になったらいけないので彼の傍から離れ、忍び足でバナナワニの前を横切りロビンの元へ駆け寄った。


「ミス・オールサンデー、クロコダイルさんに鼻で笑われたー」

「ふふふ」


ふふふって、もぉー。ロビンの隣に、ぼすんと腰を下ろした。ふと、クロコダイルさんの会話からMr.3の名称が聞こえてきた。およよ、Mr.3への司令かな?電話でなんて珍しい。耳を澄ましていれば、何か引っかかった。

あれ?この会話どっかで聞いたような……。


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