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手紙が届いた。ナナちゃんからだ。そろそろ麦わらの一行がアラバスタに来る頃じゃないかとのことだ。確かに手配書は数ヶ月前に見た。あれはアーロンパークが終わってから出たはずだから……。
「First name」
「わっ、はい。何でしょう?」
「お前、コブラのとこにお茶しに行ったらしいな」
「げっ、何故それを」
「クハハハ、俺に隠し通せるとでも思ったか」
「すいません。どうしても、お茶菓子が食べたくて」
「菓子ごときに釣られてるんじゃねぇ」
「だってぇ」
「いいか」
クロコダイルの顔が変わった。真面目な話だと受け取り、私も顔を引き締める。
「まもなく本格的に始まる」
そうか、やっぱり、そろそろなんだ。
「だから、あまりあそこには近付くな」
「はい」
もうすぐ始まる。否、もうとっくに始まってたんだ。終焉へのカウントダウンが。
「しけた面してんじゃねぇよ」
「……」
「何を心配することがある?この俺だぜ?」
「ふふふ、そうですね。何かお手伝いすることがあったら言って下さいね」
「はっ、お前の出る幕なんかねぇよ。……お前はいつも通り呑気に寝てりゃ良い」
「起きたら全部終わってますか?」
「あぁ」
そうだと良いな。眠っているうちに全てが終わってたらどんなに嬉しいだろう。どんなに恐ろしいだろう。どんなに哀しいだろう。
きっと居場所のわからない数日間になるにちがいない。今から想像するだけで胸が苦しくなるよ。
ねぇ、ナナちゃん。ナナちゃんならどうする?ナナちゃんなら……。
ねぇ、どうしよう。分からないよ。
あぁ、やだな。一つだけ分かってるのは、彼と離れたくないっていう気持ちだけ。
あぁ、やだな。分かってるよ。分かってるけど、読んでいるのと今生きているのじゃ感情が付いていけないよ。[ 231/350 ][*prev] [next#]
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