03
きっと彼女は困った顔をしているに違いない。
今朝、やっぱり帰って来ていなかったロビンにとうとう我慢ができずクロコダイルに詰め寄った。クロコダイルは微塵も気にしている様子はなかった。当たり前だ。クロコダイルだもん。でも、私は無性に居ても立っても居られず、軽く彼に当たってしまった。彼が引くような性格なはずなく、口論の末私は酷い言葉を言い捨て飛び出してしまった。
自室のベッドに飛び込み、さっそく後悔の波に呑み込まれる。
なんてことだ。私は彼になんて言った?
「もういい!嫌い!」
はっとして体を起こす。嫌いだなんて、そんなはずないのに。やだ、どうしよう。扉を、じっと見つめる。こんなことで喧嘩なんてしてる時間ないのに。こんなことで擦れ違っている暇なんてないのに。
引き寄せられるように私は駆け出した。
「クロコダイルさん!」
空っぽの部屋。彼がいないこの部屋は、妙に自分存在が大きく感じる。膝から崩れ落ちる私を支えてくれる人はいない。
擦れ違った刻を戻す時間なんて私たちには残されてないのに。
両手で顔を覆った。恥ずかしくて、馬鹿な自分が恥ずかしくて。もう、顔なんて挙げれない。
あぁ、神様。時間を戻して。[ 223/350 ][*prev] [next#]
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