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近付けば近付くほど怖くなった。いずれ訪れるだろう別れに。得られれば得られるだけ欲望はより募り、欲しがり、それが疑心になることに。

大丈夫だよね。繋がってるよね気持ちも。置いてかれてないよね。どうしよう、近すぎて周りが見えない。

不安だよ。不安なんだよ。気付いて。気付かないで。信じてないんじゃない。ただ、怖いの。初めてだから、誰かと繋がるのは初めてだから、怖いの。


「こんなの、嫌だ」


ぼそりと呟いた声は届かず。


「おい、First name。寝るんじゃねぇよ。話がまだ途中だろうが」

「……うん」


私は怠い体を彼から離した。


「私が白ひげ海賊団に入ったのは……」

「待て」


まだ始まったばかりなのに遮られてしまい首を傾げたら、彼はそっと私の後頭部を撫でてそのまま胸板まで導いた。


「辛いだろ。寄り掛かったままで良い」

「……ありがとう、ございます」


彼の優しさに少しだけ体と心が軽くなり私は彼の鼓動に耳を傾けながら目を閉じた。

ねぇ、私の過去を知っても、私のこの世界での存在を知っても、傍にいさせてくれますか。

迷い子だということをカミングアウトするのは、思った以上に私の胸を詰まらせた。


「クロコダイルさん」

「ん?」

「私、私は、迷い子なんです」


迷い子、それは人生に迷いし子供のこと。


「……迷子?」

「あはは、違いますよ。迷い子です。聞いたことありませんか?」

「迷い子……」


ちらりと目を開けて彼を見上げれば真剣な顔で考えていた。

あぁ、なんて愛しいんだろう。


「あ?あれか、未来や過去を知ってるってやつか?」

「え」


体が硬直した。私は、ゆっくりと体を起こし明らかに青ざめているであろう顔を彼に向けた。


「First name?」

「そう、そんな言い伝えもあったんだ」


白ひげは知らなかった?それとも知っていて何も言わなかった?そしたら白ひげは……。


「おい、大丈夫か?」

「あ、うん。そう、私はたぶんその迷い子。私は、私はね、六年前、違う世界から、この世界に堕ちたの」


未来と過去、今は知らなければと思う日もあるけど、知ってたからこそ、あなたを探せたから……。


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