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何処から来た?そんなの決まってる。


「ここじゃない場所から」


海賊なんていない、剣や銃を振り回す人もいなければ、こんな大きい人なんかいない、それに……。


「迷い子か」

「え、迷子じゃないっす」

「グラララララ、たまにいるんだ。てめぇみてぇに、ふらっとこの世界に迷い込んで来る人間がよ」

「え」


じゃあ私以外にもトリップしてきた異世界人もいるってこと?


「親父、俺にはさっぱり話が読めねぇんだが……」

「グラララララ、分からねぇで当たりめぇだ。俺も迷い子に逢ったのは初めてだからなぁ」


ちょっ、ちょっと待って。ということは、もしかしてナナちゃんも……いやいや、その前に。


「何で私が異世界人だって分かったの、じゃなくて分かったんですか?」

「さぁ?どうしてだろうな」


酒を煽り口の端を上げて意味深に笑った白ひげの顔に心臓が高鳴った。

ずっきゅーん。

う、やばい……これはキューピッドの矢に撃ち抜かれたかもしれない。


「First name、来い」


白ひげの瞳に引き寄せられるように、ふらふらと私の体は白ひげに近付いた。

差し伸べられた手に迷うことなく触れた瞬間、雷が落ちたような衝撃が身体中を走った。そして走馬灯のように頭の中に過ったのは見覚えのある漫画のいくつものシーン。


「First name、どうした?」


そうだ、全てとは言わないが私はこの人の行く末を知っているんだ。


「いえ、何も……」


白ひげの顔を直視することができず視線を反らしたことを不思議に思ったのか私を抱き上げ自分の膝に座らせた。


「First name、悪かったな」

「え」

「お前に人を殺させてよ」


ぎゅっと胸を鷲掴みにされたような感覚に私は白ひげの胸に額を寄せた。

誰かに気付いてほしかったのかもしれない。人を殺めたという真実は私一人で抱えるには大き過ぎて重過ぎて、暗過ぎた。


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