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18

時は来た。

白ひげ海賊団では悪魔の実は見つけた者が食べて良いということになっている。

買い出しから戻れば何やら甲板が騒がしい。また迷い子でも来たのかと人垣を掻き分けて前に進む。そして、その光景を目にした私は思わず持っていた荷物を床に落としてしまった。


「じゃじゃーん!悪魔の実!どうだ、First name!驚いただろ!?」


驚いたも何も驚愕だよ。驚愕すぎて何も言えないよ。人垣には私と全く同じ顔をしたあの子がいた。

私とあの子視線がまじ合う。


「おーい、First name。聞いてるか?」

「聞いてない」


私はサッチの言葉をばっさり切り落とし、アイちゃんの腕を掴んで自室へと向かった。


「……今夜だ」

「……ッ、ふっ、ぅぅぅ」


ずるずると崩れ落ち泣きだしたアイちゃん。泣いている場合じゃない。泣いている場合じゃないんだ。


「泣くな!」


そう言った私の頬も濡れていた。感情が高まる。何故か高揚している気分を抑えることができない。


「……ッ」


私は壁に拳を叩き付けた。興奮状態であり、痛みが全く感じない。いっそ短剣で自分の足を刺してしまおうかと思った時、アイちゃんが顔を挙げた。



「First nameさん……ッ」


そうだ、この子はまだ何もできない。私がやらなきゃ。私がサッチを助けなきゃ。


「アイちゃんは、余計なこと、しないで。私が、私が何とかするから」


うん、大丈夫。私なら大丈夫。悪魔の実を食べてないティーチになら、何とかサッチを助けて逃げれる。その内、皆も気付いて来るだろう。


「でも、私も、私も何か……」

「駄目、足手まといになる。今日一日普通にしてられないなら私の部屋にいて良いから。皆に、ティーチに悟られたらまずい」

「……はい」


時間が過ぎるのが、こんなにも長いと感じるのは久々だった。

せっかくのサッチが作ってくれた食事も緊張からか口にすることができなかった。もしかしたら最後のサッチの料理だったかもしれないのに。

体はだるくなっていった。気持ち悪くトイレで吐こうとしたが何も出てこない。速く、速く、時間が過ぎて欲しかった。

そして夜。気分とは反対に夜空には大きな月が顔を出していた。これなら夜でも十分に目が使える。

私はその日、見張りを交換してもらった。


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