19
衝撃だった。
キングサイズのベッド二個分、否それよりも大きいかもしれない。とにかく大きいの一言しかないベッドに胡座をかいて酒瓶片手に座っている人物は想像を裏切らない大きな人間『白ひげ』だった。
「でかっ」
思わず口をついて出てしまった言葉にジロリとマルコに睨まれてしまったが仕方がない。
でかいもんは、でかいんた。
「グラララララ。俺ぁ、素直な奴は嫌いじゃねぇぜ」
「親父、こいつが島で拾った女だい」
拾った?私、拾われたのかよ。てか、拾ったんだったら島にポイ捨てしないで最後まで面倒見て頂きたいことこの上ないのだが。
マルコに自己紹介しろという無言の圧力をかけられ、私はマルコの背中から出ておずおずと顔を挙げた。が、その迫力に見事にびびってしまい私はマルコの腕に縋り付いた。
「あ、あの……First name、です。えっと……船、乗せてくれ、じゃなくて頂いて、あ、ありがとう、ございます……」
「グラララララ、気にすんな」
やべっ、ちょー心広い。体のでかさと懐の広さは比例してんのか。
「で、First name。お前何処から来た」
笑っていた顔が一瞬で真面目な顔になり、弧を描いている口元に反して目が真剣だった。
あぁ、この人は全てお見通しなんだと感じ、私はなんだか脱力してしまった。
縋っていた腕から離れ、しかと白ひげの目を見つめる。
もしかしたら、ここが居場所になるのかもしれない。そう微かな期待を胸に抱いて。[ 19/350 ][*prev] [next#]
[目次]
[栞]