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12

空に浮んでエースと向き合う。私の能力で浮かんでいるため体は自然と密接している。


「こら、弟」

「何だよ、姉ちゃん」

「あんなこと言うな」

「……」

「あんな、あんな、自分を傷付けるようなこと言うな。こんの、ドMがっ!」

「ドMって……ひでぇな、おい」


だって、だって、エースはいつも自分より家族とか仲間優先で傷だらけなのに、そんな心まで、やめてよ。


「次あんなこと言ったら……」


何を言われるのかとエースは、ごくりと唾を飲み込んだ。


「私が泣く」


自分で言っていて本気で泣きそうになった。誰かに必要とされたい、誰かに求められたい、愛を与えられたい、そんな私とエースが重なってみえた。

エースに比べれば私なんてたかが知れた人生を送ってる。エースの方が辛くて苦しくて泣きたくて、なのに……。


「First name」

「……ッ」

「ありがとな」

「どーいたしまして」


マルコに見つからないよう、こっそり船に戻り、二人で日向ぼっこしながらお昼寝をした。

夢を見た。あの一ページの夢を。私は助けられなかった。傍にいたのに。私は何もできず、ただエースの灯火が消えていくのを呆然と見つめていることしかできなかった。

ルフィの悲痛な叫びが突き刺さる。まるで責められているような感じに竦み上がる。

わざわざ世界を飛び越えてきたのに、何もできないままの私を皆が感情のない瞳で見ている。


「ごめ、なさ、い」


赦して、弱い私を。何もできない私を赦して。どうか消して。


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