×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -
07

黒い渦に呑み込まれる。もがいても、もがいても、もがいても、口から吐き出されるのは沫。伸ばした手は誰に届くわけでもなく、空を握り締め、迫り来る闇に世界は覆われた。

白い風が吹いた。闇を吹き飛ばし、包み込む白い風。靡く髪、肌に触れる感触は柔らかい。

あぁ、戻ってきてくれたの?

自然と綻ぶ頬。視界の端に追いやられる闇を、せつなげに見つめた。

ごめんね。今はまだ、闇を受け入れられない。弱くてごめんね。いつか、いつか、いつか一緒に……。


「い……、おい、……おいっ!」

「……ッ」


ぱちりと開眼した目。珍しくすっきり瞼が開いた。


「え、え?え?」

「おい、大丈夫かよい」

「マルコ?」

「隊長だよい」

「あ、うん、隊長。あれ?」


体を起こせば理解。医務室だ。ここは医務室だ、うん。


「あれ?私……何で?」

「あいつらと修行中に、また気絶だ。あいつらが言うには、お前が黒い風を……」

「あぁああああ!そうだそうだそうだ!」


タオルケットを剥がし裸足のまま床に飛び降りる。


「マルコ隊長!白ひげのところ行ってきます!」


取り合えずパパに報告だ。どうやら私はまだ能力を使いこなせていないらしい。暴走した時のために、白ひげには言っておかないと。


「白ひげ!」

「お、First name!」

「エース!帰ってきてたの!?」


甲板に出ればテンガロンハットを被った弟がいた。


「ただいま、First name」

「おかえり!」


再会のハグを交わしていたら背後から、ぐわしと頭を掴まれた。


「この野郎」

「あはは、マルコ隊長。私、野郎じゃなくて、娘なんだけど……」

「野郎で十分だよい。親父に報告の前に俺にしろ」


ぺしっと後頭部を叩かれ解放された。ちょっとエース、何苦笑してんの。弟のくせに、仕方ねぇ姉ちゃんとか思ってんだろ。


[ 187/350 ]

[*prev] [next#]
[目次]
[]