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05

白ひげは私の時と変わらずグラグラ笑い飛ばしている。そして女子高生ことアイちゃんはマルコの背後で呆然としていた。なんとも間抜けな表情だ。

どうしよう、まさか私もこんな顔してたのか。


「お前の場合は、もっと酷かったよい」

「なんだと、うるせーよい」

「真似するなよい」

「けっ」

「グラララララッ」


白ひげの笑い声が大海原に響き渡る。残念ながら、私は何一つ面白くない。


「First name、迷い子の先輩として面倒みてやれ」

「え、断る」

「First name!?」

「……」


即答した私にマルコがぎょっとした顔を向ける。私は白ひげから視線を外さない。

暫く、私と白ひげの間に無言の時間が過ぎる。


「……分かった。マルコ、またお前が面倒見ろ」

「……別に良いけどよい。親父、女のFirst nameの方が……」

「いや、お前にそいつは一任する」

「……分かったよい。こっちこい、ナースんとこ行く」

「え、ナース」

「あぁ」


おろおろしているアイちゃんをマルコは納得いかない面持ちでマリアたちの所へと向かった。


「……あー、すみません。白ひげ」

「グラララ、気にすんな。お前も思うところがあんだろうよ」

「まぁ、それなりに……」


言葉に表せない靄靄したものが沢山。


「だが、お前が一番分かるだろう?」


何を?


「見ず知らずの場所に、前触れもなく放り出される奴の気持ちがよぉ」

「……」

「気にしてやれ。あいつが、次の島で降りるにしろ、このまま残るにしろ、俺の船にいる間は家族だぁ。グララララ!」


家族か……。相変わらず、心の広いお方だ。


「白ひげ、お願いです」

「何だぁ?」

「船長命令と言ってください」


でなければ、私は逃げ場がなくなってしまう。

困ったように笑う私に船長は言った。


「命令だ」


ありがとうございます、白ひげ船長。


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