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泣いて泣いて泣いて気付いたら寝ていて、目が覚めたら朝だった。人間なんて、そんなものだ。何だか起き上がるのも歩くのも面倒で能力を発動した。

ふわふわと浮きながら洗面所に向かえば、酷い顔をした自分がいた。しかし目が赤いわけでもないし、涙の跡があるわけでもないし、本当に泣きながら寝たのって顔だ。

昔からそうだ。良いのか悪いのか泣き顔が、あまり残らない。ただ、今鏡に映る自分は酷く疲れていて人生に絶望しているような不幸な顔だった。


「風使いさん」

「ロビ……ミス・オールサンデー、おはようございます」


部屋に入ってきたロビンの手。手と言っても生えてきている手の方に朝食の乗ったトレーがあった。

とにかく顔を洗い、髪をとかし、身支度をした。何故だか分からないけど、そうした方が落ち着ける気がしたんだ。


「酷い顔ね」

「う」


あなたは、いつも美しい顔ですね。言い返せない私は黙って朝食にかぶりついた。全く食欲はなかったけど。


「昨日は大変だったみたいね」

「……」

「ボスも荒れてるのよ。困ったものだわ」

「……」

「気晴らしに海賊狩りでもしてきたら?」


どんな気晴らしですか?もっと、まともな慰め方して下さい。


「ミリオンズから町に海賊が向かってるって連絡あったのよ。英雄さんはご機嫌ななめだし、行ってくれるでしょ?」


暗に行けと命令されているようだ。私は頷くことしかできなかった。戦う気も全く起きないのに武器をぶら下げて、さっさと追い出される。

え、何この状況。出てけってことなの?ロビン、遠回しに私を捨てる感じですか?

起きた時間も遅く、すでに日が上りきったレインベースは耳障りなほど賑やかで、それが余計に私を惨めにした。

捨てられちゃった。


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