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15

レインディナーズに着く頃には、すっかり日が沈み冷たい空気が纏わりついていた。真っ直ぐ向かうのは彼の元。逸る気持ちを抑えて扉を開けた。


「た、ただいま戻りました」

「……」


返事はない。デスクの椅子は空席で一瞬いないのかと思ったが砂と葉巻の匂いが彼がいることを現していた。


「随分、遅かったじゃねーか。初めての遣いは、そんなに難しかったか?」


彼はソファーにいた。横顔から彼の苛立ちが伝わってくる。


「すいません」

「死んではいなかったみてぇだなぁ?」

「え?」

「まぁ、分かってはいたけどな」


何を言っているのか全く分からない。私は扉の前で、ただただ立ち尽くしていた。


「俺の砂嵐を正面から消し去るとは、やるじゃねぇか」

「……ッ」


あれは、やっぱりクロコダイルの……。あれ?死んではいなかったって……私を殺す気だったの?だから、外に出したの?

さぁっと身体中の血の気が引くと共に、胸を締め付けるような熱いものが込み上げてきた。


「殺す、つもりだったの?」

「あぁ?当たり前ぇじゃねぇか。くだらねぇこと聞くな」


息を吐くような震えた声が出た。それに気付くことのないクロコダイルは淡々と応える。

なんだ、私、信用されて手紙を届けさせられたんじゃないんだ。なんだ、信用も何も殺されるはずだったんだ。


「そっか……」


不本意ながら涙が出た。怒りはない。泣きたくもない。哀しくもない。ただ、ただ、悔しい。


「おい」


やっと私を見た彼は、少し驚いた顔をしていた。


「し、死ななくて、ごめんなさい……ッ!」


「何言ってやが……」


彼の声を聞いてる余裕なんて全くなくて、私は部屋を飛び出し与えられた部屋へと飛び込んだ。

久しぶりの自室のベッドの感触が冷たくて冷たくて余計に涙が溢れ出した。

まさか殺されそうになってるなんて、これっぽっちも気付かないなんて恥ずかしかった。


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