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13

レインベースの町並みは賑やかだ。それとは真逆な状態であるユバ。スパイダーズカフェに行く途中に寄ったそこは、酷いものだった。

ここを、こんなにしたのはクロコダイル。それを知ってはいたものの、現状は紙の上とは想像を絶する。


「酷い……」


思わず溢れた言葉は風と共に飛び去った。


「珍しいな、旅人か?」

「え」


声を掛けられた。まずい、素通りして行くつもりだったのに、あまりに想像以上だったから、つい立ち止まってしまった。


「悪いな、今この町は廃れてるんだ。まぁ、宿なら腐るほどあるぜ」


フードを深く被り、相手の顔を見たら驚愕した。

な、生コーザだ。うわっ、本気でまずいのと出会った。


「おい、どうした?」

「……」


ど、どうしよう。コーザ、イケメンじゃないか、ってそんなこと考えてる場合じゃない。落ち着け落ち着け、コーザは私がバロックワークスの人間ってことを知らないし、まだクロコダイルは英雄だし、だ、大丈夫だ。問題ない。


「……問題ない。それにしても……酷いものだな」

「……あぁ、雨は降らねぇしその上、砂嵐が酷くてな」

「砂嵐……」

「まぁ、ゆっくり旅の疲れを落として行けよ」

「いや、先を急いでる」


そう言って足早に町から出ようと踵を返せば腕を掴まれた。


「待て、よ……って、あんた女か?」

「……」


腕を引かれたことでフードが外れた。気付いたら肩まで伸びていた髪が靡く。


「おい、コーザ!砂嵐が、またこっちに向かってる!」

「……チッ、おい一先ず俺の家に……」

「さようなら」

「おい!」


呼び止める声を背に、視界に入るまで近付いて来ている砂嵐へ駆けた。

ねぇ、この砂嵐は自然現象?それとも……あなた?

砂嵐を目の前にして恐怖感が沸き上がってこないのは何故だろう。これが彼の出した砂嵐だから?それとも砂嵐も……私の能力と同じ風だから?


「ごめんね」


右手を前に突きだし風を拡散させた。彼の香りがした。


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