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- ナノ -
12

生活が変わった。というか寝床が変わった。あれ以来、私はクロコダイルの部屋に住み着いている。何故だ。


「おい」

「あ、はい」


そろそろ私も彼の「おい」に慣れてきた。今のは茶のおかわりだ。


「どーぞ」


デスクに置けば書類から顔も挙げない礼も言わない。まぁ、それも慣れたけど。

クロコダイルの部屋に住み着いてから仕事らしい仕事が、お茶汲みだけになってしまった。軽く軟禁状態な気がするのは私だけでしょうか。


「おい」


さて次の「おい」は何でしょう。


「てめぇに仕事をやる」

「仕事?」

「武器を持ってけ、一応な」

「え、あの、どこに?」

「とりあえず、この紙を見せれば良い」

「誰に?」

「スパイダーズカフェのポーラだ」


スパイダーズカフェ……たこパッ!?


「え、一人でですか?」

「当たり前だ。素性はバレないようにしろ」

「……あい」


初めてのお使い。スパイダーズカフェへ、お届け物。

部屋に戻り、武器をぶら下げて動きやすい服装に着替える。最近、シャツ一枚とか適当過ぎる服装だったから、変な感じがした。バンタナを付けようか迷っていると扉が鳴った。


「風使いさん、入って良いかしら?」

「あ、はい、大丈夫でーす」

「あら、バンタナは付けない方が良いわ。あなたが、風来のFirst nameだと言ってるようなものよ」


いつの間にかバンタナはトレードマークになっていたようだ。


「できれば、そのバックルも外した方が良いけど……無理そうね」


はい、無理です。これだけは外せません。ロビンが持ってきてくれた射光砂避け用のマントを羽織り準備完了。そして、ふと気付く。


「スパイダーズカフェって、何処ですか?」


肝心なことを分かっていなかった。下手したら砂漠で遭難だ。それだけは勘弁してほしい。ロビンから地図とコンパスを受け取り、久々の外の世界へと向かった。


「行ってきます」


無意識に呟いた言葉は、こごが居場所になりはじめている証なのかな。


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