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ずきずきと疼くような腰の痛み。生理だからって理由もあるけど、何よりクロコダイルさんに蹴られた鈍痛。


「おい。何、起きてんだ」


寝室と執務室を繋ぐ扉が解き放たれ只今監視されている状態。少しでも起き上がろうとすれば、砂で視界を覆われるの繰り返しだ。過保護なマルコ再臨って感じだ、まったく。


「クロコダイルさん」

「……」

「クロコダイルさーん」

「……」


ザ、しかと。戸惑う。すごく戸惑う。どうしよう。何で出てけって言わないの?何で私この部屋にいるの?


「あー、もう……」


項垂れた声が漏れる。

もう、いいや。片足をベッドから下ろせば、ひんやりとした感覚が走る。

ベッドから下りて立ち上がった瞬間、腹部が痛んだ。じくじくとした痛みに一瞬腰を曲げるが、なんとか堪える。腹部を擦りながら私は扉へと向かった。


「どこ行くんだ」

「……だって」

「……」

「出てけって……」

「……てめぇは仕事もまともにやり遂げられねぇのか」

「……ッ」


何それ。意味分からない。ただでさえ情緒不安定なのに、そんなぐさぐさ刺さる言葉言わないでよ。込み上げてくる熱いものを抑え込もうと視界を腕で覆った。

あー、だめだ。泣く。


「おい」


不意に感じた砂の香り。


「俺が、てめぇの欲しい言葉をくれてやると思うか?」



いつのまにか間近にいた彼に腕を退かされ顎を掴んで無理矢理視線を合わせられる。


「欲しけりゃ奪ってみせろ。てめぇは海賊だろ?」


あぁ、そっか。そうだよね。そう簡単に上手くいくはずないってば。何、自惚れてるの私。恥ずかしい。

クロコダイルはシャンクスみたいに良い人じゃないじゃん。悪役じゃん。

だからって、欲しけりゃ奪う?弱虫な私が、そんなことできるわけないじゃん。

言わないなら言わせてやるなんて無理。だから……。


「私、使えない奴だけど、もう少し、もう少しだけ、ここに居させて下さい」

「はっ、欲のねぇ女だな」


だから、待ってる。


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