06
飄々とした態度で店の中に戻れば、すでに元通り再開されていた。
近くにいたガードマンに「裏口」と一言だけ伝えれば承知したと一礼して行ってしまった。
「風さん」
「あ、副支店長。支店長なんて?」
「取り合えず様子を見るようにと」
「そう、じゃあ私は休憩させて頂きまーす」
「え」
何か本格的に体が怠くなってきた。これは、やばい。血の臭いを嗅いだら余計きた。あいつめ……。
ぽかんとする副支店長を背に、さっさと私は裏に引っ込んだ。
部屋に戻り、そのままベッドに倒れ込む。一気に襲ってきた眠気に堪えられず私は意識を手離した。
陽が沈み、夜の賑わいが漂う頃、カジノに支店長ことロビンが現れ小さなざわめきが起きた。
「副支店長、様子はどうかしら?」
「これはこれは支店長。無事、海賊は店を出ましたよ。いやはや、一時はどうなるかと思いましたよ」
「そう、それは良かった。ところで、風使いさんはどこかしら?」
「それが……」
辺りを見渡し見知った姿が見えないことに疑問をもったロビンが問う。副支店長は、また汗を噴き出し額をハンカチで拭った。
「休憩をすると言ったきり戻ってきていなくて……。どうも、朝から顔色が良くなかったみたいなのですが……」
「そう……」
確かにロビンにも思い当たる節があった。ロビンは踵を返しカジノを後にした。[ 166/350 ][*prev] [next#]
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