19
漫画で見たことのある場所。扉の先には階段。下りたところには長いテーブル。そして、彼はなんて絵になるんだろう。
「……」
「おはようございます」
チラリと私に視線を向けた彼。
「ハッ、少しは見れた姿になったようだな」
「むむ」
シャツの裾を掴みながら彼を睨み付ける。
「座れ、飯が冷める」
「……はい」
居心地が悪かった。こんなに静かな食事は久々。船では食事という名の戦争が繰り広げられていたのに。
「……」
いつも以上に食べれなかった。
「あー……、ごちそうさまでした」
あー怖い怖い怖い。眉間の皺が怖い。ご飯残してもマルコでさえ、そんなに怖くなかったよい。
「お前に仕事をやる」
「……」
「殺しを任せようと思ったが……やめた」
「……」
「外でお前を使うとろくなことにならねぇだろうからな」
確かに、私が殺しの仕事をしていると出回ったら白ひげが黙ってはいないだろう。
だからって……。
「雑用かよ!」
重たい書類を運ばされて何往復目だろう。疲れた。腕痛い。
「失礼します。こちらミリオンズからの報告書です」
「……」
執務室に入れば思わず見とれてしまう真剣な顔付きで書類と向き合うクロコダイル。
返事はないが邪魔をしないようにと、そっとテーブルに置き出ていこうとしたら呼び止められた。
「何でしょう」
「そこに座ってろ」
顔も挙げずに指示したのはソファー。疲れていたため遠慮なく腰掛けた。
うわっ、ふかふかだ。
子供みたいにニヤけたのは秘密。[ 159/350 ][*prev] [next#]
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