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夢を見た。
神々しい光を背にした人物、たぶん神は哀しい顔で私を視ていた。
「人を、殺めてしまったのか」
好きで殺したんじゃない。殺さなきゃ自分が殺されていたんだ。
仕方がなかったんだ。否、違う。
あの男を殺してまで私は生きる価値があったの?
本当は、あの男じゃなくて私が死ぬべきだったんじゃ……。
「それは違う。あの男が死ぬことは運命で決まっていたことだ」
決まっていたこと?じゃあ、私は?私は、この世にもあの世にも見放されたはみ出し者じゃないか。
「First name、よく聴いてくれ。君が、この世界に来たのもまた運命。君が死ななかったのも運命なんだ」
運命、運命って、それじゃあ全てが始めから決まっているってことなの?
これから起こることも、これから自分で動くことも……。
「First name」
「いい、もういい。聴きたくない」
さよなら、神様。[ 15/350 ][*prev] [next#]
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