12
拒絶されようとも、睨まれようとも、あなたと出逢えたことに、あなたに触れられたことに、あなたの瞳に映ったことに、幸せを感じた。
「でた、神」
「……」
「何すか、その気に入らないって顔は」
瞼を閉じたら白の世界。そこに、神はいた。
「愛を求めたのだね」
「はい」
「その相手は彼?」
「そうです」
「未来を知らぬわけではないだろう?」
「全てを知ってるわけじゃない」
「賛同しかねる」
だからなの?神様が気に入らないから、上手くいかないの?何それ。それが運命?
「違う。だが……」
「やだってば。私が何で愛を求めているか知ってるんでしょ?何で白ひげの元を去ったか分かってるんでしょ?」
「……」
無力な自分に嫌気がさした。何もできない。何も変わらない。私は空気だ。
その上、あれは何?やっとできた私の居場所まで奪うの?
「君は逃げた」
そう私は逃げた。弱いから。弱すぎて心が悲鳴を上げたから。
捨てられる前に自分から手放した。
こんな弱い私は、やっぱり愛を手にしてはいけないの?
「君が真に望むならば」
望んでるに決まってるじゃないか。何のために世界を捨てたのよ。
幸せになりたかったからでしょ?それ以外に何があるの?
私は、彼の瞳にもっと映りたい。私だけを映してほしい。
ねぇ、欲張りかな?
この世界にきて、私は欲張りになった?
あれも欲しい、これも欲しい、それも欲しい。
気付いたら両手いっぱいで抱えきれなくなっちゃって、全てを落としてしまったらどうしよう。[ 152/350 ][*prev] [next#]
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