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14

「嬢ちゃん、あの島の人間じゃないんだってなー?」

「そうなのかい?」


白衣の男、たぶん船医が桶を片しながら言った言葉に首を傾げながらマルコは私を見た。


「そうです」

「そりゃー災難だったな」

「そうですね」


目が覚めたら戦場とか、災難って言葉だけじゃ済まされないから。


「近くの島かい?だったら船で乗っけてってやるよい」


船で帰れたら、びっくりだよ。てか、真面目にどうしたら良いんだ、私は。帰れるのか?本当の本当に、ここは……ワンピースの世界なの?


「嬢ちゃん、聞いてるかい?」

「隊長、その辺にしといてくれや。まだ体調も悪いし、それに……」


船医はマルコに意味あり気な視線を送るとマルコも理解したのか頷いて、分かったと言った。


「じゃあ俺は行くよい。ゆっくり休みな」


マルコは私の頭を大きな手でポンポンと撫でると部屋を出ていった。

撫でられた髪をすきながら出ていった背を見つめながら私は、ぼそっと呟いた。すると船医にも聞こえたのか姿は見えないが吹き出す音が聞こえた。


「せくはら」

「ぶはっ!」

「……」

「せくはらって!そりゃーマルコ隊長、可哀想だ!」


綺麗な水を張った桶を抱えて戻って来た船医は桶を置くと腹を押さえて笑いだした。

そこまで笑わなくてもと思いつつ、桶の水を見つめていると、ひょいっとタオルも渡された。


「顔洗え。吐いて気持ち悪いだろ?あと口もゆすげよ」


ありがたい。私はお言葉に甘えて顔と口を洗い、すっきりさせた。けど、やっぱり口内は微妙に違和感があり顔を歪めていれば、今度は茶色い液体が入っているグラスを渡された。


「薬?」

「薬じゃねぇが……まぁ、飲めよ」


鼻を近付け臭いを嗅げば何となく予想が付いたが、恐る恐る口をつけてみればやっぱりそれは酒だった。


「うっ」

「ハハハッ!嬢ちゃんには、ちとキツかったか」


笑い事じゃない、ストレートのウィスキーなんか飲めないし!


「まぁ、これで眠れるだろうよ。ゆっくり休め」


船医は桶とグラスを持つとカーテンを閉め行ってしまった。

まぁ、確かに口の中の臭みは取れたし何だか眠く……。


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