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13

マルコ隊長はマルコ隊長だった。あの、あの某漫画そっくりの風貌に私は細い目を限界まで広げて驚きを示した。


「な、なんで……」

「あ?」

「やっ、やだ!ここどこ!?どこなの!?」

「おい、落ち着けよい」


これが落ち着いてなんかいられるわけがない。漫画の世界の人物のそっくりさんが目の前にいるなんて。私は有り得ない光景だった。

これが、ナナちゃんだったら純粋に喜んでいただろうけど私はひたすら引くことしかできないでいた。

今、目の前にいる人がコスプレにしろ違うにしろ私はこんな人達と関わりたくなかった。


「おいっ!俺を見ろ!」

「ひっ」


肩を掴まれ無理矢理、視線を合わせられたマルコの瞳には酷い顔をした私が映っていた。


「こ、これは現実なの?」

「あ?」

「私が、私が人を殺したのは現実に起こったことなの?」


視線を下げ信じられないと言うように呟いた私の言葉に男二人は怪訝な顔をして私を見下ろしていた。


「嬢ちゃん、事情はよくわからないが取り敢えず礼は言っとくぜ。ありがとよい」

「礼?」


いったい何の礼?私は何もしていない。強いて言うならば人を殺した。まさか、そんなことで礼なんかされたくない。


「嬢ちゃんのお陰であの島の村長は助かった」


身に覚えのない言葉に思い出したくもないが、途切れ途切れの映像を繋げるように記憶を遡る。

そして見えたのは祈るような姿をした老人。

あぁ、あの人が村長さんか。でも、どちらかと言うと私の方が庇われたのだけれど。

それに誰かを助けたことで私は犯罪者になってしまった。

私の手は真っ赤だ。


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