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また傷ができてしまった。しかも今度は胸に火傷。女として終ったなと思いながら快晴の空を眺める。

甲板に寝転びながら風を感じるのは気持ち良い。うとうとと眠りに落ちそうになった時、隣に人の気配を感じた。


「お、やっほー。エースじゃん。何シケた面してんの?」

「……悪かった!」


腰を九十度に曲げて頭を下げた姿。あ、どこかで見た気がする。


「いいって。全然気にしてないし」

「俺、First nameが女だなんて知らなくて……」

「あははっ、何それ。女だったら喧嘩しなかったってこと?そっちのがムカツクんだけど」


ポンポンと隣を叩き座りなよと促す。素直に腰を下ろしたエース。


「女でも私、海賊。昨日のは喧嘩。女だからって手ぇ抜かれたら、うざい。ムカツク。ナメてんじゃねーよって感じ」

「お前、口悪いな」

「こんな男所帯、言葉使いなんて気にしてらんないし」


ケラケラと笑う私にエースは何だか難しい顔をする。


「エースが強くなりたいって気持ちも、仲間を家族を護りたいって気持ちも分かるよ。だって私も仲間を家族を護りたくて戦ってるんだもん」

「……」

「護りたいと思ってるのはエースだけじゃないの。皆が、そう思ってるの。そんでもって皆が護りたいと思ってる中にエースもいるんだよ」

「First name」

「この船に乗った瞬間、家族になった瞬間、エースの命はエースだけのものじゃなくなったんだよ。だから、自分の命を大切にできないエースなんか大嫌い。もっと自分を大切にして」

「……悪かった。でも、俺は大切な家族を護るためなら逃げたくねーんだ」


遠くを見つめる視線。エース、あなたの瞳は何を映してるの?


「First name!」

「お、トリオじゃん!」


イエローに、ぐいっと抱き寄せられエースと距離をとられる。


「エースに近付くな。お前これ以上、傷物になったらどーすんだ?嫁にいけねぇぞ」

「いや、まじで余計なお世話だから」


イエローに結婚の心配なんかされたくない。


「エース、First nameちゃんが女だって分かったからって手ぇだしちゃダメだからね。First nameちゃんは皆の妹なんだから」

「お、おう」


グリーンのキューティー笑顔に寒気がしたのは何故だろう。


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