18
神、登場。
何だ、久しぶりの登場じゃないか。
「ナナちゃんは元気?」
「君よりかは平和に過ごしているようだ」
「へぇ、他の世界の迷い子は?」
「……皆、それぞれの苦悩を抱えている」
「そう……」
苦悩ね、私はまた壁にぶつかったよ。
「男性恐怖症とかになったらどうしよう」
「困るか?」
「うん、だって……」
私も恋愛オチが欲しいもの。
「君が望むならば、君はその試練を越えていけるだろう」
他人事だと思いやがってと、呟いた時には意識が現実へと引き戻されていた。
「First name?」
「……エリザさん」
「……辛かったわね」
「いえ」
差し出されたグラスを頂き体を起こして一気に飲み干した。
「私が弱かっただけです。少し考えれば予想できなかった状況じゃなかったですし……」
「そうね。女だからってナメられたくないわよね。でもね、あなたは女よ。怖くないわけがないわ。無理しないで、男じゃわからないことでも私たちならわかってあげられるわ」
「エリザさん」
「いつでも相談にきて」
美しく笑うそれは、まさに白衣の天使。
ナースたちの部屋を出てしばらく歩くとトリオの姿が見えた。ドキリと跳ねる心臓。震える体を無理矢理抑え込み、私は勢い良く三人の背に抱き付いた。
「うおっ!?」
「ぎゃっ!?」
「え?」
三者三答の反応に思わず頬が緩む。
あぁ、なんだ大丈夫そうじゃん。
「First name!」
「……ッ、お前!びびんだろーがっ!」
「First nameちゃん、大丈夫なの?」
「うん、大丈夫大丈夫」
私は満面の笑みでピースした。
「心配かけて、すまん。取り合えず白ひげとマルコ隊長のとこ挨拶してきまーす」
「たっく、しょうがねー妹だ」
レッドにわしゃわしゃと頭を撫でられ、私は船長室へと向かった。
「失礼しまーす」
「First name、起きたのかい」
「あ、マルコ隊長もいらっしゃったのですか」
「起きて大丈夫なのかよい?」
「はい、ご心配かけました」
頭を下げ白ひげに向き合う。
「白ひげ……」
「First name、すまねぇな。情報不足だった」
「いえ、自分の弱さです。足手まといになってしまい、申し訳、ありませんでした」
あぁ、悔しい悔しい。力を手に入れたのに心が弱いなんて、女だということが仇になるなんて。
「無理するな。どんな強者にも弱点はある。まぁ、お前はまだ強者にも届かねぇがなぁ。グラララ」
「……鍛練に励みます。あ、そういえばエースはどうなりました?俺は一億を倒す!とか粋がってましたけど」
「あぁ、エースなら今医務室で寝てるよい」
「え」
「大した怪我じゃない。そんな顔するなよい」
だって、私があそこで逃げてなければエースが怪我をすることもなかったんじゃないの?[ 138/350 ][*prev] [next#]
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