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16

想像していた荒んだ光景は広がっていなかった。しかし異様なほどの静けさに、背筋に寒気が走る。


「嫌な予感がするねい」


白ひげの命により島に降り立ったのは一番隊。つまりマルコ隊長の隊であり、そこに属する私もいる。ちなみにエースもいる。


「家屋にも人はいません。随分と放置されてたようですよ」


偵察してきた先輩クルーたちの情報にマルコは腕を組み「そうかい」と言ったまま黙ってしまう。


「マルコ隊長、この先に海賊たちが占拠している屋敷があるようです」

「海賊の名はヒキョウ海賊団。船長はイクジ・ナシ。7500万ベリーの賞金首です」

「それに船長のイクジよりも金額が高い一億ベリーのゲレツがいます」


7500万ベリに一億って、私より賞金額が遥かに高いじゃないか。でも。


「First name……」

「嫌です」


何を言わんとするのか察した私はマルコの言葉を遮り拒否する。ちらりと、マルコの顔を伺えば、深い溜め息を溢された。


「行くよい」

「うっしゃぁああああ!」


一番隊の気合十分な声が拳とともに空に突き上げられた。私も久々の戦闘に心が踊っていた。しかし、その惨状を知った瞬間、血の気が失せ、情けないことに目を逸らすこともできなかった。


「First nameっ!お前は見るな!」


屋敷に入ってすぐ、レッドの手が私の視界を覆った。しかし、指の隙間からそれは見えてしまった。

下劣な顔をして笑う男たちの足元に跪付く女たち。半裸、全裸状態の女たちが男たちの股間に顔を埋めていた。

何をしているかなんて言われなくても分かる。分からない程、子どもでも無垢でもない。

吐き気がする。胃の底から何かが込み上げてくる。


「……うっ」

「First nameっ!?」


肩を抱いたレッドに「大丈夫」と伝え体を離す。


「何だぁ?お前ら」

「白ひげ海賊団、一番隊。近くに寄ったついでに、お前らヒキョウ海賊団……潰させてもらうよい」


マルコの瞳が怒りで揺らいだ。その言葉を合図に皆が雄叫びを上げ拳を掲げた。


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