12
まじまじとエースの顔を見る。
これがリアルエースか。うむ、イケメンじゃないか。でも私より年下。残念ながら私は年下に興味がない。
「皆、あっち行こう」
「お、おう」
イエローの腕を引きその場から離れようとしたら引き摺っていたはずのブラシが止まり、危うくつんのめるところだった。
振り返るとエースがブラシの先を踏んづけていた。
「てめぇ、何しやがる」
「First nameちゃん、言葉使い……」
苦笑するグリーン。今さら口調なんてどうでも良い。海賊が、おしとやかなんかやってらんないだろ。
「待てよ」
「だから何んだよ」
「お前……」
「あー、もう、まじでうざい。ぶっ飛ばす」
何が言いたいのか分からないエースにキレた。ぎょっとしたトリオに抑えられる前に殴りかかった。が、エースはロギア系の能力者なわけで打撃が効くわけがない。
「なんだ、お前。覇気も使えねーのか?」
かちーん。
「うわっ、First nameが気にしてること言われたー」
イエローの言葉にピクッとこめかみが反応する。
こうして太陽の日差しが降り注ぐ中、とっくみ合いが始まった。
良いパンチが入ってくる。紙一重でかわすが、反撃する余裕はない。
やっぱり、私はエースより弱いのか。まぁ、あたりまえだ。最強設定のトリップじゃなかったもん。弱い自分に自嘲すれば、エースに胸ぐらを捕まれ綺麗なストレートが右頬に決まった。
殴られた勢いで体が甲板に叩き付けられる。口から呻きが漏れた。
「……ッ」
あー、痛いなぁ。
微かに開いた瞼の隙間から青々とした空が視界に入ってくる。
良い天気だ……。
私の意識は途切れた。[ 132/350 ][*prev] [next#]
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