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「おーい、吐いたぐらいで落ち込むなよ」


いやいやいや、女の私としては一大事だよ。しかも吐いてる姿を人に見られるなんて……。


「お、起きたのかい?」

「あぁ、マルコ隊長。今、丁度起きて吐いてたんだよ」

「吐いてた?大丈夫なのかよい?」

「あぁ、大丈夫ですよ」


大丈夫じゃない。断じて大丈夫ではない。てか、吐いてたとか言わなくて良いじゃなかいか。そんなこと報告するな。


「よぉ、お前さん大丈夫かい?」

「……」

「……おいドクター、こいつ喋れないのかい?」

「さぁ?俺もまだ声聞いてねぇから」


白衣の男と後から入って来た男の隣でゲーゲー吐きながらも耳を傾けていた私。取り敢えず気になったのは『マルコ隊長』という単語。

マルコ隊長って……隊長って何?いったい何の隊長なの?てか、私は村にいたんじゃ。その前に私、部屋で寝てたんじゃ……。

わけが分からないが取り敢えず吐き気も一時治まり、桶から顔を上げて見れば……。


「うっそ……」

「あ、喋った」


男二人が揃って声に出し、私を見た。無意識に出てしまったことに慌てて口をつぐむとマルコ隊長と呼ばれている変な髪型の男が私の顔を覗き込むように近づいてきた。

もちろん私は警戒心を、醸し出して後退りする。何より吐いた後だから臭いが気になって近づきたくなかった。


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